【最終更新日2018/1/16】
ジレンマに苦しむサラリーマンは多いです。ジレンマとは相反する2つのことに板挟みになる状態のことを現代ではいいます。
賃貸仲介の報酬とは?
賃貸物件を仲介したときに得られる報酬とは貸主・借主の双方から合わせて賃料の1か月分が上限と宅建業法で決められています。
戦後の住宅難の時代から、現在より10年前くらいまでは宅建業法で定められている通りにお部屋を借りる方だけが仲介手数料1か月分を支払うことにより賃貸仲介業が成り立っていました。
しかし、賃貸専門不動産会社の全国展開により家主様からも広告料として賃料の1か月分を頂くことが多くなってきました。
全国展開する不動産会社は大量の宣伝広告をして入居者を確保しますので、家主様としても広告料を支払ってでも早く入居者を入れてほしいと思っているのです。
ひとり社長が不動産会社に入社した約15年前の時点では家主様が広告料を支払うのは50%程度くらいだったと思います。
仲介成約時に広告料として賃料の1か月分をくださいと言っても断られていたのを覚えています。
そして、月日が流れ、現在ではほぼ、100%の家主様が広告料を支払っています。
また、空室の多い関西地方などでは広告料は賃料の2か月分~3か月分を支払っている家主様も多くいるのが現状です。
これは時代が変わった結果です。お部屋が足りなかった時代はお部屋を借りる人がたくさんのお金を支払っていましたが、現在のようにお部屋が余っている時代はお部屋を貸す家主様が入居者を確保するためにお金を支払わなければいけないのです。
※賃貸仲介業は起業するジャンルとしておすすめです!その理由と詳細は下記記事を参照ください。
広告料は宅建業法違反ではないのか?
一般論で言えば、宅建業法違反です。賃貸物件を仲介したときの報酬の上限が貸主・借主を合わせても賃料の1か月が上限と決められているからです。
ただし、この問題については何度も議論されてきました。そして、2000年には賃貸仲介大手エイブルとミニミニが公開聴聞を受けて、行政処分受けています。
しかし、その行政処分やその他の事例を見ても広告料を受領することをはっきりと禁止しているものはありません。
広告料について、きちんと家主様に事前説明した上で、家主様の了解があれば受領しても問題ないと解釈されているからです。
これは時代背景もあります。空室が多くなり、家賃がどんどん下がり、敷金・礼金もどんどん下がってきましたが、それでも埋まらない空室問題に対して、不動産会社へ広告料を支払ってでも入居者を決めて欲しいという家主様の気持ちがあるからです。
その結果、現在ではほとんどの家主様が賃貸仲介時に広告料を支払っているのです。そして、その広告料はお部屋を借りる方が支払う礼金や家賃から支払われています。
賃貸仲介会社・賃貸管理会社の収益構造
賃貸仲介には自社で取り扱っている物件を自社で客付けする業者と、賃貸仲介だけを専門にやっている業者、賃貸管理だけをやっている業者など様々な業者がいます。
本来は賃貸仲介会社がお部屋を借りるお客様から仲介手数料を頂き、賃貸管理会社が家主様から広告料を頂くのが不動産業界のビジネスモデルでした。
しかし、このビジネスモデルも増え続ける空室のために、もろく崩れています。現在では賃貸管理会社も広告料を支払って賃貸仲介会社に客付けしてもらっているのです。
でも、賃貸仲介会社もボロ儲けではありません。たしかに仲介手数料も広告料も両手でもらえてウハウハに見えますが、そのお金を狙って賃貸ポータルサイト(スーモやホームズ)などが高額な物件掲載料を請求してきます。
賃貸仲介会社もお客様を集客するのに昔よりもたくさんの費用が掛かるのです。
そして、賃貸管理会社は本来受領できるはずの広告料を賃貸仲介会社へ支払ってしまうと収入が大幅に減ってしまいます。
そのため、賃貸管理会社は保険料や保証料、安心入居サポート料、鍵交換代、契約事務手数料などを付帯してお客様にお部屋を借りて頂くのです。
そうすれば、家主様から受領した広告料をそのまま仲介会社へ支払ったとしても、付帯収入が入ってきます。
この付帯収入と毎月の管理料や営繕費用、リフォーム費用で賃貸管理会社は運営されているのです。
※賃貸管理会社の業務・収益についてはこちらの記事を参照ください。
賃貸仲介におけるジレンマについて
賃貸仲介における収益構造を見てきましたが、この部分にジレンマがあるのです。賃貸仲介会社は広告料が欲しいので、できるだけ広告料が付くお部屋しか決めません。
しかし、広告料が付くお部屋には賃貸管理会社が用意した付帯(保険、保証、サポート、鍵交換、手数料)が付いていますので、入居費用が高額になりお客様に敬遠されてしまいます。
でも、広告料が欲しいし・・・賃貸管理会社へ付帯を外してくれないか相談すると必ず言われるのが広告料が減額になりますと言う一言です。
しかし、賃貸管理会社から見てもジレンマはあります。広告料を仲介会社へ支払っているのは早く入居者を決めて欲しいからです。
しかし、広告料を支払った上で自社の利益を確保するために付帯をつけてしまうと、客付けがし難くなってしまいます。
ジレンマです・・・。
まとめ
このジレンマに解決方法はありません。その時、その時の状況に応じてバランスをとるしか方法はないのです。
ひとり社長もより効率的に客付けをするための研究を長年してきて、細かい修正の積み重ねはできましたが、このジレンマは解消できませんでした。
細かい修正とは、リアルタイムに正確な空き情報を確認できるシステムの利用だとか、ご案内にすぐに対応できるように鍵はすべて現地のキーボックスに設置するとかのことです。
賃貸仲介時の広告料のジレンマに対しては繁忙期と閑散期で対応を変えたりして、現在もジレンマと戦っている最中です。
本当は、お部屋を貸す方も、お部屋を借りる方も、仲介会社も管理会社もみんなに喜ばれる仕組みができればいいのですが…難しいですね。
これからも試行錯誤してよりよい仲介の仕組みを作り上げていきたいと思っています。
以上、賃貸仲介・賃貸管理会社の報酬について!でした。