NTTドコモの加藤社長の退任が発表されました。近年、ドコモは急激に業績を回復してきましたが、その立役者の加藤社長の退任には驚かされます。
一番驚いたのはツートップ戦略は失敗するとわかっていたこと
加藤社長といえば、ドコモにIPhoneを導入したことが一番の実績です。もし、ドコモがIPhoneを取り扱わなければ、いまでも業績は下降していたはずです。
IPhoneの先行者であるソフトバンクに顧客を取られ、次発者であるauに顧客を取られ続けていたはずです。
当時の雑誌ですら、ドコモの顧客を他社が争って奪い合っていると繰り返し書いていたのを思いだします。
ドコモ幹部によるとツートップ戦略は「社内のIPhone反対派を説得するために、失敗を承知でやったものだった」ということです。
本当なのかはわかりませんが、IPhone導入に反対する人はいたでしょうね。他社と同じことをやるより、他社と違うことをやって差別化をはかって業績を上げようと考えていた人がいても不思議ではありません。
組織が大きくなれば、なるほど、あまり責任のない立場にいる人があーだこーだと言うものです。
だから、ツートップ戦略でサムスンとソニーを自爆させて、その結果を示してアップルと手を組んだという話には真実味があります。また、そこまでしないとアップルと手を組めなかったドコモという巨大組織の血の巡りの悪さを感じます。
説得できなければ、やれることをすぐにやってみることも大切
良いアイデアでも、悪いアイデアでも、やらないよりかはマシだと思います。すぐに行動して失敗しても、修正すればいいだけです。
もし、行動しなければ、検証することもできず、正解がわからないまま進まなくてはいけなくなります。
ソフトバンクみたいにトップの率先垂範が強い組織であれば、鶴の一声でアップルと手を組みiPhoneを導入できますが、官僚組織のNTTドコモでは失敗を見せつけてからiPhone導入の必要を説かなければいけなかったのかもしれません。
説得できなければ、相手のアイデアを実行してみればよいという良い見本です。そのアイデアがそのままうまくいけば儲けものですし、失敗したらこちらのアイデアに切り替えればいいのです。大切なことはすぐにやることです。
経営には「スピードとチャレンジ」が必要
上記の通り、どんな仕事でもスピーディーに行って、その結果を検証して、新たなチャレンジが必要です。最初から正解がわかっている人はいませんので、常に答え合わせをしながら経営をしていくのです。
ひとり社長はすべての判断を自分でしますので、よりスピードとチャレンジが必要です。ただ、小資本ですから大きな損失やリスクは避けています。
リスクが少ないことやストックタイプのビジネスにはスピードとチャレンジを今後も繰り返していきたいと思います。
まとめ
NTTドコモの加藤社長の退任は残念です。しかし、業績が上向いたタイミングで社長を交代するのは良いことだと思います。業績が悪くなってから社長が交代して、業績を立て直すのは本当に大変だからです。
組織はトップで決まります。しかし、官僚化した組織を動かすには失敗するのがわかっていてもやってみることが必要なとこもあるでしょう。
ドコモがツートップ戦略を打ち出したときに韓国国内ではサムスンのスマートフォンが売れると喜んでいる報道がありましたが、私はiPhoneには勝てないと思っていました。たしかにiPhoneアンチやソフトバンクアンチを取り込めるかもしれませんが、iPhoneとその周辺サービスはandroidに比べてはるかに高性能だからです。
加藤社長もわかっていたでしょうね。サムスン・ソニー製品のツートップでアップルに対抗できないことぐらいは。でも、ツートップ戦略を実施したからこそ、iPhoneの良さが良く分かり、iPhoneを中心に売っていく方針を固めることができたのです。
ツートップ戦略は無駄ではなかった。そう思いたいですね。